農地で行う太陽光発電がイマ注目されている!

 

近年、地方の農地では農業を行う人が減少傾向にあることから、田畑が利用されない遊休農地が増えています。農地の場合、宅地などの他用途で使用するためには転用しなければならず、転用ができないと農地以外に利用できないのです。そのため、ニーズの少ない地方の農地では遊休農地が増えているのです。

 

ところが、ここ数年前からこうした遊休農地が、思わぬ使われ方をするようになってきました。それが太陽光発電です。2016年4月より開始された電力の完全自由化により、太陽光発電による電気の調達に大きな注目が集まり、増加傾向にあります。

 

いくつかある不動産活用の中で、太陽光発電はとても有効です。その理由は、1日中太陽光を浴びることができるためです。そこで、ここではイマ農地などの不動産活用で注目されている太陽光発電について、詳しくご説明していきます。

 

太陽光発電

農地などの不動産活用で太陽光発電はイマとても注目されていますが、どの農地でもソーラーパネルを設置できるわけではありません。農地にはいくつかの区分があり、その区分によっては転用が原則不可となることもあります。

 

原則不可となるのは、農業振興地域内に指定されている土地や、10ha以上の大規模な土地、耕作に優良な条件を備えている土地などです。すなわち、作物生産に最適な土地では転用は難しいということになります。それ以外の土地であれば、農地転用をすることで太陽光発電を行うことが可能です。

 

農家の人の中には、「耕作に適した土地で転用が難しいが、この日当たり良好な条件を有効活用したい」と考えている方も多くいます。このような場合、農業と太陽光発電の両立が可能であることが認められることで、営農型太陽光発電も可能となります。

 

営農型太陽光発電とは「ソーラーシェアリング」とも呼ばれ、農地に支柱を立ててその上にソーラーパネルを設置して太陽光発電を行い、その下では作物を育てて農業を行うというものです。支柱を設置することでソーラーパネルの間に隙間ができるため、日光を全てさえぎってしまうことがなく十分に作物を生産することができます。

 

しかし、営農型の場合、設置できるソーラーパネルの出力量は、転用型のソーラーパネルの出力量よりも低く定められています。それは、営農型はあくまでも耕作とのシェアであるためで、作物の生産を妨げるような設置は出来ないからです。

 

転用型と営農型の太陽光発電では、どのくらいの差があるのでしょうか?土地の広さをそれぞれ1000㎡とし、いくつかの項目で比較してみました。

  1. 転用型:100kWシステムが導入可能・初期費用約4,500万円・年間発電量約114,000kWh・年間売電収入365万円・20年間収支2,796万円・農業収入なし
  2. 営農型:50kWシステムが導入可能・初期費用約1,750万円・年間発電量約52,000kWh・年間売電収入約160万円・20年間収支1,010万円・農業収入あり

 

この数字はあくまでも参考であり、パネルの設置費用や電気の買取価格の変動により異なってきます。従来は、買取価格が国によって定められその価格が10年間~20年間固定されていましたが、2017年4月からは設備の種類や規模から中長期での価格目標を設定し、そこから価格を決定していきます。

 

太陽光発電に必要なもの

農地で注目の太陽光発電を行う場合、どのような準備が必要となるのでしょう?

 

注目の太陽光発電システムを設置する場合、必要な機器は農地の区分に関係なく基本的に同じです。

 

必要な機器としては、

  1. 太陽光パネル
  2. パワーコンディショナー
  3. 接続箱
  4. 集電箱
  5. キュービクル
  6. 計測表示装置

です。営農型では作物の上部に太陽光パネルを設置する形式になるため、更に支柱も必要となります。

 

太陽光パネル

ソーラーパネル・太陽電池モジュールなどとも呼ばれるもので、種類やメーカーによって1枚の出力は異なります。パネル1枚当たり70W~250W程度が一般的です。農地活用として設置する場合には、導入の目的や事業計画、費用などから設置規模を決定します。

 

パワーコンディショナー

太陽発電によって得た直流電力を、使用できるように変換する機器です。一般的なパワーコンディショナーは、インバータ部分、系統連系保護装置部分、絶縁変圧部分の3つから構成されています。これによって、安全に電力が変換され利用できるのです。

 

接続箱

太陽光パネルからの配線を一まとめにする箱のことで、まとめられた配線はその後パワーコンディショナーに接続されます。単に一まとめにするだけの箱ではなく、その中には点検・保守の際に利用するスイッチや被雷素子、電気の逆流防止装置など、安全管理で必要な設備も整っています。

 

発電システムは、パネル数枚で1セットとして構築していきます。接続箱は、数セット分を1つの接続箱でまとめていきます。産業用では大きめのものが利用されます。

 

集電箱

接続箱やパワーコンディショナーから出力された電気を集める機器です。接続箱が複数必要であったり、パワーコンディショナーをシステムに導入する際には必須となる設備です。

 

直流集電箱と交流集電箱の2種類があり、直流集電箱は定格出力が大きいパワーコンディショナーを利用するシステムで導入され、交流集電箱は定格出力が10kW以下の住宅用パワーコンディショナーで導入されています。

 

キュービクル

キュービクル式高圧受電設備とも言い、受電用機器をコンパクトに整理して金属箱に収納した設備です。設置場所を選ばず、保守点検が簡単に行える便利性を持っています。太陽光発電では、50kW以上の発電システムで必要となります。

 

計測表示装置

発電の稼働状況などがモニタにて確認できる機器です。

 

農地ならではのメリット・デメリット

不動産活用として注目されている太陽光発電ですが、そこにはメリットもあればデメリットもあります。

 

農地転用でのメリット
  1. 節税対策が期待できる

    土地活用で太陽光発電が注目されている理由に、不動産にかかる相続税、法人税、所得税などの節税効果があります。主に、「グリーン投資減税」「所得税対策」「相続税対策」においてメリットが期待できます。

     

    グリーン投資減税とは、確定申告で青色申告書を提出する個人や法人に対して、対象となる設備を導入し1年以内に事業を開始することで、即時償却(100%)・特別償却(30%)・税額控除(7%、中小企業のみ)のいずれかを選択して税制優遇が受けられます。

     

    当該事業年度の利益処分を希望するなら即時償却、初年度償却額の減額を希望するなら特別償却、税金自体の減額を希望するなら税額控除というように、目的別に選ぶと良いでしょう。

  2.  

  3. 十分な日照時間により売電収入が増える

    農地が広いほど周囲に日光を遮るものが無くなるため、1日を通して日当たりを確保することができます。日照時間が長ければ、発電量も増えるので売電収入も期待できます。

     

  4. クリーンエネルギーなので環境にやさしい

    土地活用の手段として太陽光発電を選択することは、自然の力を利用するため環境を汚染させることがありません。地球温暖化が叫ばれる現在では、太陽光発電は無限のエネルギーとして注目されています。

 

農地転用太陽光発電でのデメリット
  1. 農地転用の許可が必要

    農地の場合、その所有権に関わらず管轄は政府になります。そのため、太陽光発電システムを設置する際には都道府県知事の許可が必要となります。また、耕作と発電を両立させる営農型では、きちんと両立できる条件を備えることで3年間の転用が可能となり、その後は更新も可能です。

  2.  

  3. 転用型では地盤改良、営農型では支柱が必要

    転用前が水田であった場合には、支柱や架台をしっかりと固定できるよう地盤を強化する必要が出てきます。また営農型では、作物の栽培に支障をきたさないよう支柱を立てる必要があります。

  4.  

  5. 多額の初期費用やメンテナンス費用が掛かる

    農地に太陽光発電システムを設置する場合、大規模な設備投資が必要です。また、転用・営農それぞれに掛かる費用の他、送電設備が整っていない場合には更にコストが掛かることになります。そのため、長期に及ぶ運用が求められることになります。

 

太陽光発電の転用許可

不動産活用の方法として、農地での太陽光発電はイマ注目されていますが、実際に設置する際には、事前に都道府県知事または農業委員会に許可申請を行う必要があります。農業委員会は、農地法に基づいて農地など不動産の売買や貸借の許可、農地転用の許可、遊休地の調査・指導などを行う行政委員会で、各市町村に設置されています。

 

転用が原則認められている農地区分は第3種農地で、条件付きで第2種農地も許可されます。

 

第3種農地とは、鉄道の駅が300m以内にある市街地区域や、著しい発展を遂げている区域にある農地のことで、第2種農地とは、鉄道の駅が500m以内にあるなどの、将来市街地化が見込まれる農地、または生産性が低い小さな農地などです。

 

第2種農地の場合、周辺にある他の不動産が転用不可能である場合に許可されます。つまり、市街地または著しく発展している区域の農地は、転用が許可されやすいということです。

 

転用許可が原則不可となっているのは、農地区域内農地、第1種農地、甲種農地です。

 

農地区域内農地とは、市町村が定めている農業振興地域整備計画で指定されている農地で、第1種農地とは、20ヘクタール以上ある1団の農地、または農業公共投資の対象となり多額の補助金で整備された農地です。甲種農地とは、第1種農地の条件を満たし、更に市街化調整区域内で多額の補助金で整備された特に優れた営農条件を満たす農地です。これらに該当すると原則転用は不可となります。

 

転用を申請する場合、農地のある場所によってその仕方も変わってきます。

 

例えば、市街化区域内(市街化されている・これから市街化する予定の区域)にある場合には、届出申請を行います。また、市街化調整区域(市街化開発を規制している区域)や、都市計画区域外(都市計画法に基づく都市計画区域に該当しない農村区域)では、転用許可の申請を行うようになります。ただし、これらの区域は一部条件を満たした農地のみとなり、そのほとんどは許可が制限されます。

 

以前は、農地で太陽光発電を行う際には、地目(不動産登記上の土地の種類)を変更しなければなりませんでした。しかし、2013年以降から一定の条件を満たすことによって、原則転用不可の農地においても一時転用許可の申請が行えるようになりました。

 

これによって、営農型での太陽光発電が可能となり、さらに太陽光発電が注目されるようになったのです。

 

営農型の太陽光発電をする場合

耕作との両立が行える営農型の太陽光発電は、定められた条件を満たすことで実施することができることから、イマ注目されている不動産活用の一つです。営農型の場合、転用型のような農地転用許可の申請手続きは必要ないように感じます。しかし、営農型であっても許可が必要となります。

 

2013年より、ソーラーシェアリングを推進させるため農地の一部転用が許可され、耕作地に太陽光パネルを設置できるようになりました。しかし、ソーラーシェアリングを行う場合には、一定の条件を満たす必要があるのです。

 

ソーラーシェアリングを行う際の条件としては、「農業と太陽光発電を両立できる条件が整えること」となっています。

 

例えば、当該農地や周辺の営農に支障をきたす可能性が無いこと、年に1回のソーラーシェアリングの報告を行うこと、太陽光パネルは農作物の生育に支障が出ないよう一定間隔で隙間を設けること、パネルを固定する支柱は容易に撤去できるような簡素化したものであること、などがあります。

 

このうち、太陽光パネルを設置する際に隙間をあけるのは、パネルの下で生育している農作物に必要最低限の日光量を与えるためです。営農型では、耕作がメインとなり太陽光発電はあくまでサブ的要素となります。年1度のソーラーシェアリングに関する報告では、年間を通して周囲の耕作地などに影響を及ぼしていないか、メインとなる農作物の生産性に影響が出ていないかなどを、詳しく報告することが義務付けられています。

 

また、太陽光パネルを固定する支柱に関しては、耕作を継続しているところに建てるため、コンクリートを流し入れて基礎を造るなどの行為は認められていません。ソーラーシェアリングでは、単管パイプを支柱の材料として利用することが多いです。

 

営農型では、メインとなる農作物の生産が適切に行われていることも重要な条件となっています。ここで言う適切な条件とは、①ソーラーパネルの下の作物の収益が、平均収益よりも2割以上減少することがない、②作物の品質が劣化しない、③耕作に必要な農機具の利用効率が著しく下がらない、などがあります。

 

では、許可が認められれば撤去しない限りソーラーシェアリングを実施できるかというと、そうではありません。一部転用許可には期限が設けられており、許可の期間は3年間となっています。ですが、3年経過したら現状に問題が無いかを審査されます。その審査で問題が無いと判断されれば、再許可が認められ継続してソーラーシェアリングを行うことができます。

 

まとめ

農地の有効活用の方法として太陽光発電を行うことは、初期費用は掛かるものの、環境を破壊しないクリーンなエネルギーである日光を利用するため、資源に乏しい日本では有効は発電方法です。特に農業は、昨今の天候によりその生産量も大きく影響することから、安定した収益があげられないとして年々減少傾向となっています。

 

また、農家を続けていたとしても生産量が上がらないと収入につながらないことから、低収入に苦しんでいる方も多くいます。そのような方達にとって、太陽光発電による売電収入は、生活を支えるとても重要な役割を持つことになります。

 

農地では、転用型と営農型の2つの方法で太陽光発電を行うことができますが、どちらの方法でもシステムを設置するためには、まとまった投資費用が掛かることになります。発電させるためには、ソーラーパネルの他にパワーコンディショナー、接続箱、集電箱、キュービクル、計測装置が必要となります。農地の場合、送電設備が整っていないことも多く、その場合には送電設備も整える必要が出てくるため更に費用が膨らみます。

 

ソーラーパネルに関しては、需要が伸びていることから産業用ソーラーパネルは、2~3年前と比べると約半額程度にまで値下がりしており、1kWあたり約30万円/kWとなっています。

 

2017年現在では、固定価格買取制度が大幅に変更されたことで、買取価格は制度開始時の40円(10kW以上)から21円にまで値下げされました。また、買取期間に関しては、10年~20年の価格固定から毎年見直しされることになりました。

 

太陽光発電では、多額の初期費用が必要となるため法律で定められた法定耐用年数に分割して、経費として計上することになります。産業用の法定耐用年数は17年が一般的です。このことからも、減価償却させるためには長期的継続が必要となります。転用型の場合、償却期間は他の土地活用ができないことにもなります。こうした面を考慮して、システムの設置を検討していくことが重要です。

 

また、営農型の場合、太陽光発電による収益はあくまでもサブ的要素となるため、農業での一定の収益にプラスアルファで売電収益を得るという認識でいることが大切です。太陽光発電で安定した収益を得られるからといってメインの農業がおろそかになってしまうと、一部転用許可が取り消されてしまう可能性もあるからです。