土地の4つの価値のひとつ「公示価格」について

土地の価値を表す価格には4つの種類があると言われており、

  • 実勢価格
  • 相続税路線価
  • 固定資産税路線価
  • 公示地価

と呼ばれています。

 

公示地価という言葉に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、新聞やテレビのニュースで最も地価が高い地域や最も地価が安い地域がどこかという点や、大きく地価が変動した地域などが毎年話題になっているのを目にしたことがある方は多いでしょう。

 

4種類の土地の価格のうち、他の3種類の土地価格の参考値にもなっている公示地価について、その概要や特徴、どうやって価格が決められているのか、どういった時に公示価格を活用するものなのかという点も含めて、詳しくご説明していきます。

 

国土交通省が定めた地点の価格

そもそも公示地価とはどういうものなのでしょうか。

 

国土交通省が全国に定めた標準地という地点を対象として、毎年1月1日の時点での価格を公表したものが公示地価と呼ばれています。平成28年の調査では対象となっている標準地は25,270箇所となっています。

 

土地の取引において、取引価格が公示地価に拘束されることはありませんが、一つの目安として重要な役割を持っています。公示地価は標準地の1平方メートル当たりの価格で表され、特別な事情がある場合を除いてその価格は適正な取引価格となっています。そのため、目安となる水準価格ではありますが、最高値や最安値とは差があります

 

標準地は国土交通省の土地鑑定委員会によって選定されます。標準地の地価が、周辺の土地の地価の基準となるため、良い点でも悪い点でも突出した特徴や性質がある土地は標準地に選ばれることはありません。極端に広かったり狭かったりする土地や、いびつな形の土地などは、周辺の土地を評価する際の参考にならないためです。

 

住宅地や商業地など、同じ用途で利用される土地の中から、利用状況や地積、環境などを考慮した上で標準的と判断された土地が選ばれます。標準地は毎年標準地として適正かどうかチェックされており、標準地の状況や周りの環境が変わり標準地として適切ではなくなった際には、新たな標準地が選定されています。

 

そうして選定された標準地の公示地価は、土地鑑定委員会によって2人以上の不動産鑑定士を介して判定されます。2人の不動産鑑定士が行った鑑定評価の結果を土地鑑定委員会が審査し、必要に応じて調整し、最終的に正常価格として公表されます。公示地価の判定において重要なのは正常価格という概念で、正常価格とは客観的に妥当な価格であるという事を意味します。

 

一般的に土地の売却において、例えば買い手が知り合いなので少し安くして売るという事や、早く売りたいので値段を下げるといったような事など、状況に応じて価格を安くしたり高くしたりする事は珍しくありません。しかし、都合により安く売った場合の売却価格は、土地の価値を金銭に置き換えて取引するという前提においては、正常な価格ではないという事になります。

 

事情があれば売却価格が変動するのは当然ですが、特別な事情がない場合は売主と買主の双方が納得できる価格で取引をすることになり、すなわち妥当な価格で取引されるはずです。公示地価はその基準であるため、正常価格に誤りがあった場合、国が誤った指標を示すことになるため、2人の不動産鑑定士から得た鑑定評価をさらに土地鑑定委員会でも精査することによって、適正な正常価格を設定しているのです。

 

そうして設定される公示地価は、誰がどんな目的で利用しているのでしょうか。公示地価は土地価格の基準とされることを想定して一般に公開されているため、誰にでも利用が可能です。個人が所有している土地の価値の目安として使用することもあれば、不動産会社が物件の価格を提示する際に公示地価に周辺の取引事情や環境などを考慮して価格を設定しているという事も考えられます。

 

個人や企業、不動産会社だけでなく、国や自治体においても、道路の拡張のためなどで用地取得が必要な場合地権者に土地の買取を打診し、その際の補償金の基準として公示地価が使われています。

 

公示価格の参照の仕方

個人でも企業でも、誰でも公示地価を利用できるように、国土交通省のWebシステムによって公示地価を簡単に調べる事ができます。インターネットで「国土交通省、標準地・基準地検索システム」と検索し、国土交通省のホームページの標準地・基準地検索システムのトップページを開き、都道府県や地域を選択します。

 

すると、検索条件を入力する画面が表示されるので、一番上の「対象」のところで地価公示のみを選択します。それ以外の検索条件についても、調べようとしている土地に合わせて選択していきます。各項目を選択したら、下部の検索というところをクリックします。すると検索条件にあった標準地の情報が一覧となって表示されます。

 

表示されている内容は、公示地価はもちろん、その土地が利用されている用途、地積に、土地の間口や奥行き、構造、最寄りの公共交通機関などとなっていますが、各標準地の右上の詳細を開くという部分をクリックすると、さらに詳しい情報が表示されます。建ぺい率や容積率、周辺の土地の利用状況、防火・準防火、前面道路に関してや給排水等、いわゆるライフラインに関する情報まで記載されており、所有者情報を除く必要な情報はほとんど確認することが可能です。

 

もっと詳しく確認したい場合は、詳細表示の一番下の詳細表示をクリックすると、不動産鑑定士による鑑定評価書を閲覧することが可能です。地価公示には2人の不動産鑑定士が鑑定を行うため、当然鑑定評価書も2枚あり、2枚とも確認することができます。実際の公示地価と、不動産鑑定士の鑑定評価の微妙な差を確認することも可能です。

 

不動産鑑定書には、より詳細な情報が記載されており、専門家の土地に対する客観的な評価を知ることができます。敷地の範囲を東西南北の距離の長さで測定した結果や、不動産取引における市場の特性、地域要因の将来予測や、資産価格の調整・検証や鑑定評価額を決定した理由についても詳細に記載されています。

 

その内容としては、住宅は住宅でも農家住宅が多いのか、近隣都市のベッドタウンとしての需要が多いのか、その土地の不動産取引においてのターゲットはどういった層の人たちなのかという点や、田舎であれば近隣の小学校が廃校になったため今後の需要は減少傾向であるといったようなことや、新興住宅地であればまだ空き地のままの区画もあり今後その区画にも住宅が建つことで住宅地として成熟していくと見込まれるといったことなどが記載されています。

 

所在や地番、住居表示などを見てもどの場所を指しているのか分からない場合や、場所のイメージがわかないという事もありますが、そういった場合は地図で場所を確認することが可能です。所在および地番の表記の部分に「地図で確認する」というリンクがあり、そちらをクリックすると、国土交通省の土地総合情報システムというシステムが開くようになっています。

 

住所や番地での検索結果の一覧では調べたい土地に近い標準地が見つけにくく、地番や地名を入力してもその地域や地番には該当する標準地がない場合もあり、調べにくいという一面もありましたが、こちらのシステムを使えば、調べたい土地の近くで標準地となっている場所が一目でわかるだけでなく、対前年変動率も確認することができます。

 

公示地価と基準地価の違い

これまで確認してきた公示地価と同じような位置づけの地価として、都道府県の基準地価というものがあります。また、公示地価と同じように使用される言葉に地価公示や地価公示価格という表現がありますが、地価公示は地価を公表すること、地価公示価格は公表された価格を指すといった意味では、公示地価との間に大きな違いはなく、公表されているという事が重要になります。

 

一方、基準地価というのは公示地価とは明確な違いがあります。公示地価が毎年1月1日時点の地価であるのに対し、基準地価は毎年7月1日時点の地価となっており、だいたい9月頃に公表されています、どちらの地価においても、価格が公表されてから環境が変われば公示地価や基準地価は翌年までそのままであるのに対し、実際の価格は不動産取引において随時変動してしまうため、差が出てきてしまいます。

 

そのため、公示地価は1月 1日、基準地価は7月1 日とずらすことで互いに補完する形をとっています。基準地価は、公示地価においての標準地にあたる基準地を国ではなく都道府県が選定することから、都道府県価格調査とも呼ばれています。基準地価は公示地価と同じように地価の公的な目安となり、標準地と基準地が同じ場所で重複しているケースもありますが、公示地価の公示区域外の地価も表示していることがあり、調べたい土地が公示区域外であった場合は基準地価が不動産取引においての価格の重要な指標となることがあります。

 

基準地の選定と判定は、公示地価と同じように専門家である不動産鑑定士が行います。その選定方法としても、標準地の選定方法と同じ考え方がなされており、同じ利用用途である土地から利用状況や周辺環境などに特別な事情がない、標準的な土地が選定されます。

 

その価格の判断基準においても、不動産鑑定士の鑑定評価を調整して精査した上で判定されるという点では公示地価と同じですし、公示区域内の基準地の価格を判定する際には公示地価を基準としてその価格が判定されています。ただし、公示地価の不動産鑑定を行うのが2人以上の不動産鑑定士であるのに対し、基準地価の鑑定は1人の不動産鑑定士によって鑑定されるという点で異なります。そして基になる根拠法においても、公示地価が地価公示法に基づいているのに対し、基準地価は国土利用計画法に基づいているといった点でも違いがあります。

 

まとめると、公示地価と基準地価の違いは7つで、

  1. 基となる根拠法が公示地価は地価公示法であるのに対し、基準地価は国土利用計画法であること
  2. 調査主体となるのが公示地価は国で国土交通省土地鑑定委員会であるのに対し、基準地価は都道府県であること
  3. 調査方法が公示地価は1つの地点について不動産鑑定士2名以上の鑑定であるのに対し、基準地価は不動産鑑定士1名以上の鑑定であること
  4. 評価の時期が公示地価は1月1日であるのに対し、基準価値は7月1日であること
  5. 調査結果の公表時期が公示地価は3月ごろであるのに対し、基準地価は9月ごろであること
  6. 調査地点が公示地価の標準地が25,270地点であるのにたいし基準地価の基準地が21,675地点であること
  7. 調査対象地域が公示地価の場合土地計画区域とその他土地取引が見込まれる地域であるのに対し、基準地価は都市計画区域外を含めた全域となっている事

となっています。

 

公示地価と路線価

市街地や、市街地とまではいかないまでも市街地に近い状態の住宅地に接している道路には、土地の固定資産税や相続税を算出する際に使用される評価額である路線価が設定されています。土地の価値において立地は大きな影響を与える要素の一つで、道路は土地の利便性に関わる大きな要素となります。

 

そのため、道路に1平方メートルあたりの価格を設定し、それをもとにその道路に接する土地の評価に使用するのです。路線価には固定資産税路線価と相続税路線価の2種類があり、固定資産税は地方税であるため市町村が決定し、相続税は国税であるため国税局が決定しています。

 

固定資産税の路線価は、固定資産税の評価替えに合わせて3年に一度、4月頃に市町村から公表されています。固定資産税路線価の設定は、まず主要道路に接する住宅の中から奥行きや間口、形状などが標準的とされる宅地を標準宅地として定め、その標準宅地に応じて主要道路の路線価が設定され、主要道路の路線価に準じてその他の道路の路線価も設定していきます。

 

本来、標準宅地の価格は売買取引の事例を参考に適正価格を求めるのですが、当面の経過措置として公示地価や不動産鑑定評価額の7割が目安となっています。この経過措置によって、市町村ごとにちがっていた固定資産税評価額が全国的に均衡化されるという結果がもたらされ、税の公平性を保つことに繋がっています。

 

一方、相続税路線価は毎年7月頃にその年の1月1日時点の価格が国税庁から公表されています。相続税路線価にも標準地が定められ、その標準地の選定には公示地価の標準地や基準地価の基準地以外にも独自に定められています。

 

路線価の標準地の設定には売買事例や公示地価、不動産鑑定士による鑑定評価額などが基盤となっており、基本的に公示地価と同じ標準地の場合は公示地価と同じとなっています。そこから設定される路線価は、公示地価の8割程度を目安として水準が決められています。8割程度とされていることには理由があります。

 

相続税路線価は1月1日時点の土地の評価で1年間同じ価格で算出されますが、1月1日以降で相続をする時までに地価が大幅に下落してしまう場合には実際の時価評価と路線価による評価において路線価による評価額が大きく上回ってしまい、大きな差ができてしまう事になります。そのため、公示地価の8割程度に水準を下げておくことによって地価変動による影響を軽減し、安全性を確保できるように努めています。

 

これは固定資産税においても同じで、土地の価格が下落しても路線価が時価評価を上回らないように、公示地価の7割程度となっています。相続税路線価が8割で固定資産税路線価が7割なのは、相続税路線価の更新は毎年であるのに対し、固定資産税路線価の更新は3年に一度となっており、更新までの期間が長い分、地価の変動リスクが大きくなるためです。

 

基本的に同じ道路に接している土地は同じ路線価で評価されるため、同じ道路に面した同じ形の同じ面積の土地であればその土地の評価額は近くなるはずですが、同じ道路に面しているすべての土地が同じ価値とはならないため注意が必要です。例えば、道路を挟んで向かいのお宅とでは家が建っている向きが違い、日照に影響がありますし、店舗の土地としては郊外と市街地どちらに向かう車線側かによって大きな影響を受けるため、評価に差が出るのは当然で、路線価としては変わらなくても実際の不動産取引には差が出ます。

 

まとめ

標準地は、その周辺の土地を代表している価格であるため、本来不動産取引においては公示地価に近い価格で取引されるというのが理想であるのかもしれません。そうは言っても、不動産取引とは流動的な物なので、需要と供給のバランスや、局所的な地域事情、社会情勢などによっても大きく影響され、その実勢価格においても大きく変動することもあるため、公示価格とは差が出てしまい、まったく違うものとなります。

 

公示地価によって提示される価格は、土地の価値としては正常な価格であると言えますが、ここでの正常という意味は、あくまでも不動産取引において特別な事情がなければ取引が成立すると考えられる価格であるという事で、公示地価との間に差がある価格を異常だという意味ではなく、自由取引を制限するものではありません

 

ですから、公示地価を重視しすぎて実勢価値を軽く捉え軽視するのも良くありませんし、公示地価と実勢時価を比較し、高い方の価格でも低い方の価格でも自分に都合がいい方を重視し正しい価格だと考えるのも良くありません。公示地価を定価と仮定しても、定価で誰も欲しがらなければ値段を下げなければ売れませんし、逆に定価でも買いたい人がたくさんいるようであれば、売主は当然一番高く買ってくれる人に売りたいと考えるわけですから、オークションと同じ原理で価格は必然的に上がるという事になります。

 

しかし、実勢価格が不明瞭な場合や、実勢価格を調べる際に参考となるような同じような条件の不動産取引の取引事例がない場合などは、国の機関である国土交通省の土地鑑定員会によって公表されている公示地価を知ることや、その根拠となる不動産鑑定士による鑑定評価書を確認できることは、土地所有者や購入を検討している消費者にとっては大きなメリットとなります。

 

土地の価格にはその用途によってたくさんの種類の価格がありますし、特に不動産取引における土地の価格は様々な要素によって随時価格が変動するため、その価格判断はとても難しいものだと言えますが、公示価格はあくまでも一つの目安であるという事を念頭において、鵜呑みにすることがないようにしましょう。地域差を調べてみたり、条件の似ている近隣の土地の取引事例を参考にするなどして様々な要素を考慮し、そうして得られた情報と併せて考える事で有効に利用することが大切です。

 

参考になる取引事例の情報がない場合や、どれくらいの需要があるのか分からない場合など、個人でそういった調整をするのが難しいという場合は不動産会社に査定をお願いするのも有効な方法です。

 

簡易査定であれば無料で査定してもらう事ができますし、査定をお願いしたからといって売却しなければならなくなるといったこともありませんし、しつこい勧誘もありません。

 

インターネットから複数の不動産会社に一括して依頼することも可能です。数社に簡易査定をお願いすると百万円単位で差が開く場合もありますが、それはその土地に価値を見出して高く評価してくれる不動産会社もあれば、最低限これくらいの値段はつくでしょうという提示の仕方をする不動産会社もあるという事ですから、査定結果の中から自分にとって都合のいい金額だけを見るのではなく、状況に応じてその範囲内での変動は当然あるものと考えておくのが良いでしょう。