アパート・マンション経営のメリット・デメリットについて

土地活用と聞いて、多くの人がまず考えるのがアパート・マンション経営でしょう。アパート・マンション経営は土地活用の中でも高い利回りが期待できる資産運用であるため、検討している人も少なくないでしょう。

 

しかし、一般家庭の方がアパート・マンション経営をするとなると、かなり大きな投資となってしまい、万が一失敗してしまった際には大きな借金が残ってしまうというリスクがあります。

 

大きな投資ですから、リスクやデメリットもきちんと把握した上で運用したいものですが、不動産会社などに相談しても、メリットばかりが強調されて、デメリットはあまり説明されないものです。

 

そこで、メリットだけでなく、デメリットもしっかり把握できるようにまとめてみました。考え方は人それぞれなので、あくまで一般論として解釈してください。

 

メリットはあくまで成功を前提して

これから挙げていくメリットは、あくまでアパート・マンション経営が成功した場合のメリットです。中にはアパート・マンション経営を始めるだけでも得られるメリットがありますが、基本的にはほとんどが経営がうまくいった場合のメリットであるということを頭においてください。

 

まず1つ目のメリットは、不労所得になることです。

入居者がいれば、滞納がない限り定期的な収入が継続します。銀行に預金をしていても利息は微々たるものですから、アパート・マンション経営の投資効果はとても高いと言えるでしょう。老後に限らず、事故や病気でいつ働けなくなってもおかしくありません。そんな時に不労所得があれば生活を維持することができます。

 

しかし、大家業は決して楽な仕事ではなく、様々な人が集まって暮らす集合住宅ではトラブルも意外と多いものです。貸している部屋で事件や自殺があると、次の借り手がなかなか見つからないという問題もあり、管理に伴う不安やストレスはとても大きいものです。

 

管理サービスに委託することでそういった負担は軽減することができますが、委託料がかかりますし、管理業者の対応によっては入居継続率が大きく下がることもあるため、一概にどちらがいいとは言えません。

 

2つ目のメリットは節税効果が得られるということです。

不動産には税金がかかりますが、特例の減税があるので税金対策にもなります。固定資産税と都市計画税には特例があります。住宅が建っていれば、固定資産税は最大で6分の1、都市計画税では最大で3分の1まで負担が軽減されます。

 

一戸に対して軽減される面積が決まっているため、戸数が多い集合住宅は、敷地がよほど広くない限りは全体が軽減対象となることが多く、節税効果が高くなります。相続税の計算の仕方は、相続財産の評価額から控除額を引いた金額に税率をかけるため、評価額を下げる事で減税効果が得られます。

 

評価額は、アパートやマンションが貸家建付地という評価を受けることで更地の8割程度まで下げられ、小規模宅地等の特例では評価額は5割に下げられます

 

また、建物も評価減されることがあり、最大7割程度に減少することがあります。アパート・マンション経営で得られる事業所得は、給与などの他の取得と合算されるため、仮に赤字になったとしても税金面ではメリットがあります。特に初年度は投資が大きい分赤字になりますが、税金で少し戻ってくると考えることができます。また、建物は減価償却によって年々価値が下がってしまいますが、それを支出のない経費として認めてもらうことが可能です。

 

3つ目のメリットはインフレ対策に繋がるということです。

物価が上昇し、通貨の価値が下がってしまうインフレですが、アパート・マンション経営は現金ではなく不動産を活用するためインフレに強いというメリットがあります。物価が上がるという事は、例えばそれまで1000円で購入することができたものが1000円では買えなくなる状態で、その分現金の価値は相対的に下がるという事になります。

 

その際には預金や現金の価値も同じように相対的に下がってしまいますが、不動産は物なので物価が上がれば不動産の価値も物価とともに上昇します。そのため現金よりもインフレに強いと言えるのです。日本ではデフレが長く続いたため、政策目標としてインフレが掲げられています。そのため金融商品よりも不動産投資が注目されているのです。

 

4つ目のメリットはレバレッジによる費用対効果です。

レバレッジとは、実際に自分が保有している資金に加えて、銀行からの融資などの他人資本を利用する事で、実際に保有する資金よりも大きな金額の資金を運用することを言います。

 

レバレッジによって運用規模が大きくなると、同じ利回りでも投資効果はより大きなものになります。

 

アパート・マンション経営の場合では、土地や建物を担保にして銀行などからの借入金などの他人資本を利用し、自己資金よりも大きな資産運用をすることが可能になり、得られる利益をより大きくすることが可能になるというのが大きなメリットとなります。

 

5つ目のメリットは戸数分、リスクの分散ができる事です。

アパート・マンション経営にかかる資金がとても大きいのは、戸数が多いという事が理由の一つですが、その戸数の多さは投資面でのリスクの分散にもつながります。極端な話では、一戸建ての貸家であれば、入居者がいれば家賃収入が見込まれますが、入居者が退去してしまうと収入は1円も見込めなくなってしまいます。

 

一方、10戸建てのアパートであれば、そのうちの1戸の入居で得られる収入は10%ということになるので、満室とまではいかなくても、8割入居している状態を継続できれば、80%の収入は得ることができます。もっと言えば、半分の5戸でも50%、1戸でも入居していれば最低でも10%の収入は得ることができます。

 

仮に1戸が急に退去してしまうことになっても、他の部屋が少しでも埋まっていれば急に収入が見込めなくなってしまうという事はありません。

 

一戸建てのように100%か0%かという振れ幅の大きい経営であれば、空室が長く続いてしまうとあっという間に経営が悪化してしまいます。その点、アパート・マンション経営では、小さな振れ幅で経営ができるため、リスクを抑えることができるのです。

 

ただし、集合住宅では同じ土地に複数の戸数が存在するため、立地によるリスクの分散効果までは得ることができないので、その効果は限定的と言えます。

 

投資が大きいだけに・・・

アパート・マンション経営をするのであれば、投資が大きい分リスクがあったり、デメリットもあるという事はしっかり理解しておかなければなりません。

 

まず1つ目のデメリットは家賃の未納・滞納です。

入居している状態であれば継続して安定収入が見込まれると言っても、アパート・マンション経営には家賃の未納・滞納というリスクがあります。家賃の未納や滞納は入居者次第と言えます。

 

そのため、入居の際に入居者審査を厳しくする事である程度は防ぐことができるかもしれませんが、入居者が事故にあったり病気になってしまい仕事ができなくなって家賃が払えなくなってしまったり、突然何かのトラブルに巻き込まれてしまったりする可能性もありますので、リスクを減らすことはできても、完全に防ぐことは難しいでしょう。

 

若い世代の単身者の中には学生やフリーター、就職したばかりの人など、収入が少ない人も多く、未納や滞納が比較的多い傾向にありますが、その分自分で家を建てているという人は少ないため、アパート・マンション経営においては大きなマーケットとなる世代です。一方既婚者は収入がある程度安定しているかわりに、求めている部屋の広さが単身者と違って広くなるため、投資効果としては薄くなってしまいます。

 

ワンルーム2戸分と同じ面積の2LDK1戸分では単純に家賃も2倍になるわけではなく、面積比で言えばワンルームの方が家賃が高くなり、その分収入が多く見込めるからです。そのため、未納・滞納のリスクとマーケットの大きさや収益率などの判断はアパート・マンション経営においてとても重要だと言えます。

 

2つ目のデメリットは需要の変化による空室のリスクがあることです。

アパート・マンション経営においては、入居率を上げていかに家賃収入を100%に近づけるか、いかにそれを維持するかという所が収益のポイントとなります。入居率は経営者の努力で上げられる場合もあれば、経営者の努力だけではどうにもならない場合もあります。

 

現在、供給よりも需要が上回っているような地域はとても少なく、世帯数は減少傾向にあり、住宅全体の戸数が上回っているため、アパートやマンションにおいても過剰供給になってしまっているという傾向にあります。たくさん物件があれば、新築物件や利便性の高い所の物件に人気が集中し、アパート・マンション経営の最初のうちは入居者が集まっても、年数が経つほどに入居者は入りにくくなってきます。

 

また、大きな需要となる大学や大企業、工場などが移転してしまうと、それだけで住民が減ってしまうため、アパート・マンション経営にとっては大きな損失になってしまいますし、自分のアパート・マンションの土地から離れた場所で再開発や路線延長による駅の新設、商業施設や公共施設の新設などがあった場合には、利便性の良い所へ人が流れていくため、やはり大きな損失となります。

 

このように地域全体の需要が大きく落ち込むというリスクもあるのです。需要の変化は予測が難しいため、完全にリスクを回避することは難しいと言えますが、ターゲットを絞って経営し、入居率を上げることは可能です。

 

3つ目のデメリットは金利の変動です。

バブル崩壊後の不景気と大量の赤字国債によって、近年はずっと超低金利時代となっています。借りる側の人間にとっては有利な低金利ですが、10年後20年後の金利がどうなっているかは分かりません。アパート・マンション経営においては、最初の建築にかかる資金が大きく、ローンの借入期間もその分長くなります。

 

長期的に金利が上がって返済額が多くなってしまうような事になったら、建物の劣化による減収や、補修のための出費が同時に訪れる可能性もあります。

 

4つ目のデメリットは災害のリスクです。

日本は特に自然災害の多い国で、大きな地震も多く、台風は毎年たくさん上陸します。ゲリラ豪雨で川が決壊し、多くの家屋が犠牲になったのも記憶に新しいでしょう。地震保険に加入するのも有効な対策です。

 

5つ目のデメリットは流動性が低いことです。

現金であれば、いつでも何にでも変えられますし、有価証券等も流動性が高いと言えますが、不動産は簡単に売買することはできず、買い手が見つからない可能性もあります。流動性が低い分、大きな価格変動が起こりにくいというメリットはありますが、現金化するまでに数か月はかかってしまいます

 

6つ目のデメリットは老朽化した際に建て替えが難しい所です。

土地活用において、土地に劣化はありませんが、建物は年月とともに劣化していきます。老朽化が進むにつれ、資産価値は減っていき、管理負担は増し、賃貸物件としての市場価格も下がってきてしまいます。いつかは建て替えが必要になる時が来るのです。

 

老朽化によって事故などがあった場合に問われる管理責任は大きく、適切に管理し続けていくのは大きな負担となります。また、建て替えのために入居者を退去させることはできないため、多くの場合では、入居者の次の住まいとなる賃貸物件の契約料や引っ越し費用は大家が負担しなければなりません。

 

退去の交渉に時間がかかり、入居率の悪い状況が続けば経営は悪化しますし、建て替えにかかる費用の負担も大きい上に、建て替えをしている間は収入がなくなってしまい、大きなデメリットになります。さらに、そのような状況で相続という事になると、相続する人がそういった費用を負担しなければならないため、相続するメリットが少なくなってしまいます。

 

まとめ

アパート・マンション経営にはメリットもあればデメリットもあります。大きな投資であるため、その分メリットもデメリットも大きくなります。そのため、成功した時には手堅く高い利回りを実現することができますが、競争も激しく、成功者の陰には多くの失敗者がいることを予め理解しておかなければなりません

 

物事に表と裏があるように、すべてにおいて良い面と悪い面があり、メリットがあれば当然デメリットがあります。そして都合良くメリットだけを得る方法はありません。

 

しかし、デメリットによって生じるリスクの中には、リスク対策などによってある程度軽減することができるものもたくさんあります。

 

例えば、家賃の未納・滞納については入居審査を厳格化することや、ターゲットにする世帯を考えて、保証人ではなく保証会社と契約することを入居条件にするなどの対策をとることができます。

 

空室のリスクに関しては、アパート・マンションを経営している地域のニーズをしっかりと把握することで軽減し、入居率を上げることが可能です。

 

  1. 単身者向けにするのか
  2. 既婚者向けにするのか
  3. 若年向けにするのか
  4. 中高年向きにするのか
  5. 周辺施設はどんなものがあるのか
  6. 利用しているのはどの年代のどんな層なのか

大学や大手企業や工場があるのかを確認し、近隣の他社物件の調査なども含め、該当の地域にどのような物件の需要があるのかしっかりマーケティングしておくことが大切です。

 

 

そのマーケティングの結果に応じて、大学の近くであれば少し狭くても家賃が安くしたり、女子大の近くであれば女性が住みやすいようにセキュリティを充実させたり、女性専用マンションにするなど、地域に合わせて工夫しましょう。

 

子供が遊べる大きな公園や児童館、幼稚園や小学校が近くにあればファミリー向けの物件がいいかもしれません。間取りや内装、設備にも流行があるので、そういったところを意識してリフォームなどをすることによって、入居率を上げることができるでしょう。

 

火災や自然災害のリスクについては保険に加入することで対策をとるという方法も選択肢の一つです。しかし一般的に火災保険だけでは地震や津波、噴火については補償がないため、地震保険に加入しなければ備えることができない災害もあります。しかし、地震保険にも加入するとなると保険料が高くなり、経営を苦しめてしまう可能性もあります。

 

地震については首都直下型地震や南海トラフ地震などが発生する可能性が高いとも言われていますし、それ以外にも日本においてはいつどこで大きな地震が起こっても不思議ではありません。保険料が高くなっても地震保険に入るのかどうか、重要な判断となるでしょう。

 

老朽化や建て替えといった問題も避けては通れない問題で、大きなデメリットとなります。こまめに修繕やリフォームをすることも大切ですし、建て替え前にはその場合の減収や入居者への交渉のための費用、建て替え費用等は前もって準備しておく必要があります。

 

また、近年の不動産の傾向としては、地方の地価は下落し、都市圏の地価は上昇傾向にあります。しかし、人口が減少していることもあり、都市圏の地価も今後の下落は十分に懸念されることです。不動産の投資ではインカムゲインとキャピタルゲインという言葉があります。

 

インカムゲインは家賃収入による利益という意味で、キャピタルゲインは土地の価値上昇による利益という意味で使われます。

 

今の時代では、インカムゲインはある程度見込むことができますが、キャピタルゲインは大きな上昇は見込めない状況と言えます。アパート・マンション経営の開始時よりも地価が下がってしまえばキャピタルロスを生じてしまうリスクさえあります。そうなると、売却しようにもローンの残りを返済できるだけの価格で売却することも難しいという状況にもなりかねません。

 

これだけたくさんのデメリットがある中で、いかにメリットの恩恵を受けながら、リスクを減らせるかというところがアパート・マンション経営の重要なポイントとなるでしょう。しかし、リスクを軽減するために大きなコストがかかってしまうなどの新たなデメリットも生じる可能性もあり、その分得られる利益も少なくなり、アパート・マンション経営の魅力の一つである高い利回りが期待できなくなってしまいます。

 

大切なのはメリットを活かしながら、適度にデメリットやリスクに対する対策をとり、利益とコストのバランスをうまくとることだと言えるでしょう。

 

アパート・マンション経営は大きな投資なので、一度失敗したのでもう一度、と何度もやり直しができるような投資ではありません。自分が運用しようとしている土地の地域のニーズや、将来の地価や金利の動向や、損益の分岐点である採算ラインをできるだけ細かく精査し、災害や需要の急変、環境の変化などの最悪の事態までをも想定してシミュレーションをすることが必要不可欠です。

 

アパート・マンション経営に失敗した人の中には、見込みどおりにいかなかった、想定していなかったことが起きた等と失敗の要因を語る人が大勢いらっしゃいますが、それは運用計画の甘さであったり、リスクへの対策不足があったと言えるでしょう。

 

絶対にアパート・マンション経営を失敗しない方法、絶対にアパート・マンション経営が成功する方法というものはありませんから、不動産による土地活用を考えるのであれば、リスクをしっかり踏まえた上で、資金計画を綿密に精査して検討してみる必要があるでしょう。