空き家・マンション・土地の維持費ってどれくらい?

誰も住む人のいなくなった家を一般的に空き家と呼びますが、近年の日本では安全性や防犯上の理由から空き家の増加が社会問題として注目されています。ひと口に空き家と言っても、全く誰も住んでいないのか、定期的に誰か親類縁者が訪れて何かの目的のために使用しているのかなど、その状態や使われ方によっても様々なタイプが存在します。

 

一軒家やマンション、建物を解体して更地になっているケースなど様々なタイプの空き家がありますが、いずれの場合もそれなりに維持費というものがかかってきます。税金や水道光熱費、メンテナンス費用など、多くの費用が発生するので、どんな状況の時にどのような費用が必要になってくるのかを知っておきましょう。

 

不動産を所有している限り続く税金

不動産は他の一般的な商品とは違い、手離さないこともあれば売りたくてもすぐには売れないこともあります。このように長期間にわたって不動産を所有し続ける場合、それは資産と見なされるため課税対象となるので注意が必要です。不動産に対して課せられる税金は、代表的なものとして固定資産税が挙げられます。これは例え誰も住んでいない空き家であっても、所有していれば毎年1月1日時点の所有者に対して税金が請求されることになります。

 

土地や建物といった不動産であれば、日本国内のどこにあるどんな条件の物件であっても基本的には課税対象として見なされます。ただ、ひと口に不動産と言っても物件の内容が土地であるか建物であるかによってもその性質は異なります。土地であれば災害などで地面ごと消滅してしまわない限りは半永久的に存在するため、土地の価値に大きな変動が無ければ価格も大きく変わることはありません。

 

これに対して建物は新築時から年数が経過すればするほど劣化していき、建物としての価値は下がってしまいます。さらに、土地は利便性の良い土地の方が山間部の土地と比べて価値が高く、他にも立地など様々な要件によって価値が大きく左右されることになります。

 

一方の建物は基本的に新築時が最高額となり、どんな建物でもこの原則や建築費は極端に変わることはありません。つまり、土地の場合は利便性の高い場所ほど価値は高くなり、建物の場合は新しく綺麗なものほど価値が高くなるということになります。固定資産税もこの観点に基づいており、その不動産の評価額が高いほど税金額も高くなっていきます

 

固定資産税の他に、不動産への税金としては都市計画税というものも存在します。これは固定資産税とは別個で市街化区域に対して課税されるものであり、同じ場所にある建物と土地はそれぞれ個別に税金額を算出することになります。決定した税金額は納付書と同時に毎年所定の期間に所有者に対して通知されることになります。

 

固定資産税との大きな違いは、都市計画税が都市計画で設定された地域に不動産が存在する所有者に対してだけ請求されるという点です。自治体による都市計画などで開発や市街化が進んでいる地域に設定されているケースが多く、その地域に不動産を所有している所有者は計画による利便性を享受しているという考えから課税対象となっています。

 

ただ、固定資産税の税率が評価額の1.4%であることに対し、都市計画税の税率は僅か0.3%しかありません。自分の所有している土地や建物が都市計画の地域に含まれているかは、自治体などに確認すればすぐに分かります。中には都市計画の情報などをインターネットで公開しているところもあり、検索すれば簡単に知ることができるでしょう。

 

契約している限りは必ずかかる料金

不動産の維持費と言えば、毎年発生する税金とは別に、その不動産を使用することで発生する維持費が挙げられます。その代表格とも言えるのが、建物で契約している電気代です。一般的な家庭の場合、電気を使用するには従量電灯という契約を電力会社と交わす必要があります。

 

この契約内容は固定の基本料金にプラスして、自分たちが使用した電力量に応じて電気代を支払っていくことになります。つまり、電力会社と電力使用の契約を続けている限りは基本料金などの維持費が発生することになります。誰も住まなくなった家の場合、電気を使用することもないので必ずしも電力会社と契約を結ぶ必要はありません。ただ、何らかの設備を稼働させたり、ちょくちょく親族などが訪れて使用する場合には契約を続けておいた方が便利だと言えます。

 

もし短時間だけ訪れた際に利用したいという場合は、基本的にブレーカーを落としておき、使用する時にだけブレーカーを上げるようにすれば電気代を節約することもできます。

 

とある大手電力会社の契約プランを参考に見てみると、契約しているアンペア数によって基本料金が異なることが分かります。

 

10アンペアであれば基本料金は280円80銭、15アンペアであれば421円20銭、20アンペアであれば561円60銭などと設定されていいます。契約するアンペア数は、どの機器を使用してるかによっても異なりますが、基本的には30アンペアから50アンペア前後のものが多くなっています。

 

この場合、基本料金は安ければ1,000円前後で済み、この他に電力を利用した日数分電力使用量がかかってくることになります。一般的な契約の場合、空き家であればブレーカーを落として全く使用しなければ、基本料金は通常の半額の500円程度に節約することができます。この程度であればたまに不動産を訪れて電気を使ったとしても1500円以内で収まることが多く、年間で考えても10,000円を超えることは稀です。

 

電力会社の多くは、基本的に継続使用が考えられる家庭向け契約などは全て1年間の契約期間としています。つまり、契約を解約したり再契約したいような場合は、1年単位の区切りの良い部分で実行すると得だと言えます。1年に満たないまま解約などをすると、契約違反と判断されてしまうこともあります。契約違反と聞くと違約金やペナルティなど怖いイメージがありますが、法外な違約金を請求されるような心配はありません。

 

あまり電気を使わず維持費に影響が少なそうな場合は、解約や再契約を繰り返さずにそのままにしておいた方が良いケースもあります。私たちの快適な生活には電気が欠かせませんが、一般的な契約と比べると契約や解約についても制限が厳しめだということを知っておきましょう。

 

水道の料金

 

電気代の他に継続的に発生する維持費としては、同じ性質の水道代が挙げられます。電気と違い、水道はあらかじめ設置された水道管を利用して水を使用します。水道管は設置されてから長く年月が経っていれば、内部がサビてしまって赤茶色の水が出てきてしまうこともあります。しばらく水を出して入れば徐々にきれいな水になっていきますが、どうしてもサビや色が気になる場合は定期的に水を流してさび付かせないようにしましょう。

 

誰も住んでいない空き家を管理し続けていく場合、庭掃除やトイレなどで水道を利用することも多く、一滴も利用できないのでは非常に不便になってしまいます。ちなみに、下水道については不動産が所属する自治体の水道局が管理運営しており、その料金設定などもある程度共通しています。とは言っても自治体が独自に設定していることが多いため、正確な水道料金を知りたい場合は水道局の公式サイトなどをチェックしてみると良いでしょう。

 

上水道の場合、道路にある排水管から自宅に引き入れている給水管の直径によって基本料金が決まっており、これに使用した分だけ従量料金が発生するのが一般的です。毎月請求してくる自治体もあれば、2ヶ月に1回まとめて請求する自治体もあり、どのように徴収するかは自治体が独自に決めることが多いです。水道代は地域によって料金が異なることも多いですが、定期的な掃除などでたっぷりと使ったとしても、1年間で15,000円ほどにしかなりません。

 

水道料金を節約したいなら道路の排水管から引き入れている水道管の直径を小さいものに変更すれば良いと考えがちですが、直径を変えるためにはそもそも工事が必要となり、節約できる金額以上に工事費がかかってしまうので得策とは言えません。

 

一方、下水道使用料も上水道の基本料金と同じように従量料金が基本となります。これも料金の設定などは各自治体が独自に決めているのですが、中には基本料金の中に一定の従量料金まで含めているようなところもあるので注意が必要です。基本的に上水道で使用した水の排水が下水道で行われているという考え方に基づいているため、極端に言えば上水道を一切使用しなければ下水道も使わないということになります。

 

下水道だけで見れば1年間に7,000円ほどしかかかりませんが、地方になどでは基本料金だけで1ヶ月あたり1,000円を優に超えてくるようなケースも多いです。その理由としては、上水道が日本ではほぼ100%の普及率になっていることに対し、地方の下水道は普及率や利便性もそこまで高くないため、下水道の整備費が毎月の使用料にプラスされているのです。下水道使用料は分かり辛い部分もあるので、事前に水道局に問い合わせるなどしておきましょう。

 

空き家ので保険をかける場合

誰も住んでいない建物の場合、災害などで建物が損害を受けたとしても必ずしも修繕や再建築が必要とは限りません。継続して住んでいないため、例えどこか一部分が壊れてしまったとしても問題はないのです。このように考えると、保険の必要性は高くないとも言えます。しかし、住宅密集地など建物だけでなく近隣の住居などに被害を及ぼしてしまうリスクを考えると、万が一の際に保証してくれる必要最低限の保険には加入しておいた方が安心なのも事実です。この場合、必要となる保険料が毎月の維持費として見なされることになります。

 

ただ、空き家の場合はどんな建物でも自由に保険を掛けることができる訳ではありません。一般的な住宅用の保険の場合、誰も住んでいない空き家は保障の対象としていないことが多く、建物そのものだけでなく用途も住宅用となっていなければ加入できないのです。このため、空き家に保険をかける場合は店舗や事務所として加入する必要があります。一般の住宅以外の建物の場合、保険料も高くなることが多いので維持費も高くつくことになります。

 

空き家の中には、家財が残っているなど一時的に住宅として使用できる環境にある場合は住宅として見なされるものもあり、保険料を安く抑えることもできます。空き家にかけることができる保険としては、まず火災保険が挙げられます。建物から出火する原因として最も多いのは実は放火であり、人の気配がしない空き家は恰好のターゲットにされる傾向が強いのです。このため万が一の出火に備えて火災保険を契約しておく価値はあると言えますが、建物によっては加入できないこともあるので注意が必要です。

 

火災保険の他には、地震や噴火などの災害に対応する地震保険も存在します。地震保険は民間だけでなく国が再保険して成り立っているものであり、保険会社によって料金や保障内容に大きな差はありません。地震保険と火災保険は一緒に加入するもので、基本的には火災保険に地震保険を加えるか選ぶだけです。火災保険の30%から50%相当額が地震保険の保険金額と決められており、保険料はリスクの高い地域ほど高額になります。

 

災害の危険性が高い地域は、危険性の低い地域と比べて何倍も保険料が高くなることもあるので、不動産のある地域によっては注意が必要となります。他にも火災保険に付帯する家財保険などもあり、必要に応じて選ぶことができます。

 

空き家に対する保険は、単なる建物の保障というだけでなく、建物に何かあった場合に近隣の住民や建物に危険が及ばないようにするという重要な役割も担っています。誰も住んでいないから必要ないと一蹴するのではなく、危険度に応じて検討するようにしましょう。

 

管理サービスの存在

建物というのは、誰も住んでいないと管理が行き届かなくなり、次第に傷みや劣化が進んでしまうようになります。これを防ぐためには、建物の大敵である湿気を除去するために空気の入れ替えを行ったり、水道管に水を通してサビや劣化を防ぐといった手入れが必要となります。この他にも、庭があれば雑草や庭木の剪定、ポストに溜まった郵便物の回収などもやっておいた方が良いでしょう。

 

これらが放置されていると、雑草が伸び放題だったりチラシなどがポストから溢れかえってしまい、すぐに建物が空き家だと知られてしまいます。建物の管理は数ヶ月に1回程度行うのが理想ですが、所有者が遠方に住んでいる場合など定期的に通うのが難しいケースも多いでしょう。

 

このような場合に役立つのが、建物の管理を代行してくれる管理サービス業者です。管理サービスというのは、1ヶ月に1回など契約内容に従って建物を業者が巡回し、目視で問題が無いかチェックしたり建物の換気などを行ってくれます。遠方に住んでいたり忙しくて管理にまで手が回らないような場合は、管理サービス業者に依頼したほうが便利です。

 

マンションの場合は、多くの物件で管理や公益費が発生しますが、これも維持費の1つと言えます。こういった維持費で管理されるのは共用部分のみとなりますが、人目に付きやすい場所がきちんと手入れされていることで防犯対策として役立つというメリットもあります。専有部分である部屋の中は管理の対象外となっており、長期間放置されているとかなり傷みが進んでしまうこともあります。

 

郵便物の回収も対象外となるため、マンションの空き家でも管理サービス業者に依頼する人は珍しくありません。この場合、外観の目視などが不要になるため戸建てと比べて管理料金が安く設定されていることが多いです。

 

また、北海道など雪が非常によく降るエリアでは空き家の管理として積雪対策も欠かせません。屋根の積雪を放置していると、雪の重みで建物が倒壊してしまったり、滑り落ちた雪で通行人や他の建物へ被害を及ぼしてしまうこともあります。場合によっては損害賠償請求されてしまうこともあるため、雪国ではできるだけ積雪対策も依頼しておいた方が安心です。目視でのチェックの他、実際に雪下ろしなども行ってくれるケースもあり、その場合は別途人件費が発生することになります。

 

料金は作業に従事する人員の数や拘束時間などによって異なり、1時間あたり3,000円ほどで依頼できます。長期間積雪を放っておくと雪の量が多いため運び出しなども非常に難しくなり、料金も高額になりがちです。雪を甘く見て放置していると大変な目にあうこともあるので、できるだけこまめに手入れするようにしておきましょう。

メンテナンス費用

空き家に対して必要となる維持費としては、ほかにメンテナンス費用も挙げられます。メンテナンスはその名の通り、建物の状況や必要に応じて所有者が実施を決めるものであり、空き家だからといって必ずしも必要になる費用ではありません。建物というのは、新築時から年々老朽化していくものであり、どうしても傷んだ部分の補修費用は欠かせません。マンションであれば修繕積立金という名前で毎月積み立てを行うことになり、金額は各マンションごとに独自に設定されています。

 

戸建ての場合は、主に外観と室内設備に必要となる部分に分かれています。室内の設備については壊れたり交換が必要になれば、その都度費用が発生するので、あらかじめ計画だてることは難しいです。一方で外観は10年20年など定期的にメンテナンスが必要だと言われており、計画を立てやすいとも言えます。メンテナンスが必要なものとしては、屋根や外壁、庭木などの塗装や剪定が挙げられます。

 

特に外壁は日光や雨風を直接受けるため劣化が早く、10年という短いスパンで手入れが必要となります。同じく屋根もダメージが大きいため約10年ほどで塗装の塗り替えが必要になると言われており、外壁と一緒に行えば足場や機器などを一度に使うことができるので費用を節約することができます。外壁や屋根の塗装費用は施工業者によってそれぞれ設定されているため一概には言えませんが、建築面積などを参考に費用を算出することが多いです。

 

建築面積とは、その建物を真上から見た場合に投影される面積のことであり、簡単に言えば建物が建っている面積ということになります。基本的に1階部分にあたる床面積と考えて問題ありませんが、厳密に見ると異なることもあるのであくまで参考程度に考えておいてください。

 

庭に木などを複数植えているような場合は、定期的に剪定しなければなりません。剪定にいくらかかるかは決まった計算式などなく、完全に職人の腕や庭木の種類、剪定の難易度などに応じて各物件で異なります。庭木の数が多かったり背の高い樹が多いなど、手間がかかる場合は費用も高くなりがちなので、事前にしっかり見積もりを取っておくことが大切です。

 

費用の請求方法も業者ごとに異なり、日当で請求されたり木ごとの単価で請求されるケースがあります。日当の場合は、作業に当たる人1人当たり1日2万円前後と設定されていることが多いです。費用は決して安くないため、少しでも節約したいなら安い業者を選んだ方が良いように見えます。しかし庭木の剪定は職人の腕に成果が左右される部分が大きく、出来を重視する場合は費用が多少高くても腕の確かな職人がいる業者に依頼したほうが良いでしょう。

 

まとめ

このように、誰も住んでいない空き家であっても様々な面で維持費が発生するということを覚えておきましょう。

 

誰も住んでいないなら手入れも維持費も必要ないように思えますが、単純に自分の物件のことだけでなく周辺の住民や建物に危険を及ぼしてしまう可能性があることも理解しておかなければなりません。

 

空き家に発生する維持費としては、まず代表的なものとして税金関係が挙げられます。

 

毎年1月1日時点で不動産を所有している人を対象として課税される固定資産税や、市街化区域に含まれている地域の不動産であれば都市計画税の課税対象にもなります。

 

不動産の評価額によっては税金がかなり高額になってしまうこともあるので、事前に税金額を確認するなどして対応しておきましょう。

 

さらに、電気代や水道代など、空き家でも契約を続けているものがあればその料金も維持費に含まれます。定期的に空き家を訪れて作業をしたり管理をしている場合、電気や水道が使えたほうが便利なケースも多いので、あえて契約を解約せずに残しておくこともあります。使わない時はブレーカーを落とすなどして節約することは可能ですが、契約している限り基本料金などは発生するので理解しておきましょう。

 

また、空き家の場合は誰も住んでいないものの、周辺への安全配慮の一環として保険に加入しておいた方が良いこともあります。特に誰も住んでいない建物は放火のターゲットにされやすいので、火災保険には加入しておいた方が安心です。また、災害のリスクが高い地域であれば地震保険や家財保険なども付けておいた方が、いざという時に大きな損失を被らなくて済みます。ただ、誰も住んでいないと通常の保険を掛けられないことも多いので注意が必要です。

 

最後に、遠方に住んでいるなど自分で空き家の管理ができない場合、巡回や手入れを代行してくれる管理サービス業者を利用するのであればその費用もかかってきます。契約内容に応じて料金は様々ですが、目視でのチェックなど簡単な内容だけなら1ヶ月で1万円もかからずに依頼できることもあるので、滅多に自分で行けない場合は依頼しておくと安心です。

 

空き家は、誰も住んでいないのに様々な費用が発生してしまうため、所有者にとっては悩ましい問題です。しかしだからと言って放置しておくわけにはいかないので、自分で管理したり管理サービス業者に依頼して、危険やトラブルが発生しないように管理していくことが大切です。

 

これらの維持費が大きな負担となる場合は、あまり所有するメリットが無いとも言えるので、思い切って売却したり解体してしまうのも一つの方法です。

 

将来的に運用したいと考えている場合は、しっかり管理していつでも使える状態を保っておくようにしましょう。