自分の家を貸す時に押さえたい4つの条件

せっかく購入した自分の家にも、転勤や親の介護など様々な事情で一時的に住まなくなるケースもあります。将来的にまた戻りたいなど売却する気が無い場合は、自分の家を空き家のまま放置しておくよりも他の人へ貸した方がメリットが大きくなります

 

もちろん自分の家を見ず知らずの他人が使用するということに抵抗がない人しか実践できませんが、放置していても固定資産税がかかるだけの家を利益を生み出す投資物件として活躍させることができます。土地の立地や家賃設定など状況にもよりますが、家賃収入が住宅ローン以上となる理想的なケースもあり得ます。

 

少しでも有利に貸すためには、どのような条件やポイントがあるのかを事前に知っておくことが大切です。条件を十分に満たしているのか、経費と収益のバランスなどもしっかり検討するようにしましょう。

 

需要の大きさ

自分の家を貸し出す場合、多くの人ができるだけ高い家賃を設定したいと考えるでしょう。ただ、当然ながら家の貸し出しを成功させるためには、その家を借りてくれる入居者が必要です。入居希望者が多い人気の土地や物件であれば家賃を高く設定することができますし、反対に需要の低い土地の場合は家賃を低くしてもなかなか借りてもらえません。

 

この需要の大きさというものが貸し出しを行う際の重要な条件となり、そのまま空室率にも直結するため最初に検討する必要があります。基本的には人口が多い土地ほど入居希望者も多く、需要が高いと言えますがそれだけが全てではありません。

 

人口そのものが少なくても、大学や工場地帯の近所であれば学生や季節労働者などが一定期間ごとに大きく入れ替わります。

 

その分賃貸物件の需要が高いので有利なのですが、こういった土地の場合は単身世帯がメインなので家の大きさによっては借りてもらえないこともあります。

 

一戸建てやマンションといったファミリー向け物件よりも、アパートや単身者用マンションの方が需要は高くなります。一方、ファミリー世帯が好みそうな土地としては、商業施設や公園、行政サービスが充実している地域などになるのですが、こういったポイントは需要の予測が難しいという問題点があります。あえて予測するとすれば、その土地に存在する賃貸物件の数や家賃相場、空室率などを調べることである程度は知ることができます。

 

個人ではこういった情報を知るのは難しいのですが、地元に密着した不動産会社などは豊富なデータを保有していることが多いので、貸し出しの仲介契約を依頼した不動産会社に相談してみると良いでしょう。もっと簡単な方法としては、入居希望者の視点で賃貸物件検索サイトを利用して周辺の物件の家賃相場を見てみることです。

 

インターネットの大手不動産サイトなどでは、取り扱っている物件やその土地の様々なデータを公表しているところもあります。

 

空室率や需要の大きさなど役立つ情報はもちろん、間取りや家賃相場など様々なデータを得ることができるので非常に役立ちます。自分の家を貸す場合、まずはこういったツールを活用して需要について確認し、いくら程度の家賃で貸し出せるかを必ず検討しましょう。需要がある場所ならローン以上の収入を得られることもあるので、この作業は非常に重要となります。

 

物件の状態

多くの入居希望者を募るためには、自分の家の状態にも気を配っておく必要があります。設備や内装などがあまりにボロボロだと当然人気は落ちますし、例え立地が良くても家賃を上げられない可能性もあります。空き家になって時間が経過している場合は、給湯設備やエアコン、電気やガスなどのライフラインに問題がないかを最低限確認しておくようにしましょう。

 

これらは不具合があると生活が出来なくなってしまうため、物件を貸す際の最低条件だとも言えます。賃貸経営では物件の管理は所有者の果たすべき義務であり、不具合が見つかると責任を負うことになります。必ず問題なく人が住める状態で貸し出す必要があるのですが、上述した最低限の設備だけではなかなか入居希望者が現れないこともあります。

 

最近は空き家が社会問題になっていることからも分かるように、住宅が供給過多の傾向にあります。ごく普通の最低限の設備があるだけでは選んでもらえないことも多く、新たな設備投資を行ってでも人目を惹く設備を導入する必要があります。新しく人気の設備は家賃に転化できるので無駄にはなりませんが、空室期間が長くなるとコストや月額料金が無駄になってしまうこともあるので収支のバランスには注意しておきましょう。

 

人気の高い設備としては、オートロックやホームセキュリティの導入、モニター付きのインターフォンなどが挙げられます。一戸建ての場合は特にセキュリティに気を配る入居希望者が多いので、比較的人気が高い設備となっています。長期間壊れたり機能が衰えることなく使用できるので、その分家賃を上げるようにすれば十分投資したコストを回収できます。

 

また、無料のインターネット回線や追い炊き機能、駐車場などもファミリー世帯には特に人気が高いので導入しておいた方が良いでしょう。一戸建ての場合は駐車場もあることが多いですが、マンションの場合は離れた場所に駐車場があるケースもあり、マイナスポイントになってしまうことがあります。

 

また、マンションによっては物件を所有している人が自分の車を駐車する以外の使用を禁止することもあるので、安易に貸し出すとトラブルになってしまうこともあります。自分のマンションがどのような規則になっているか、事前に管理組合などに確認しておきましょう。

 

経営者としての心得え

いくら元は自分の所有する家だと言っても、それを他人に貸し出して収入を得るのであれば立派な事業となります。自分の不動産を活用して賃貸経営を行うため、貸し出す際には経営者として対応することが重要です。賃貸経営を行う場合、経営者には主に管理業務が発生します。代表的なものとしては、入居者の募集や契約手続き、家賃の回収やトラブル対応と言った入居者管理が挙げられます。

 

さらに、自分の家の掃除や古くなった設備の交換などの物件管理や毎月の収支を記録したり確定申告を行う経営管理なども行う必要があります。1つの物件でも様々な管理が必要となり、自分が遠方に住んでいる場合などは管理が難しいことも珍しくありません。このような場合は自分で行うのではなく、管理を不動産会社や管理会社などに代行依頼すると良いでしょう。

 

代行会社に委託すれば、経営者と言えども基本的には入居希望者に対する最終審査や大規模な補修が必要になった際の手配などだけを行えば良いので、負担は大幅に減らすことができます。

 

経営者としては自分の家の住宅ローンが完済できていないと貸し出せないケースもあること、契約内容によっては借り主の方が権利が強く保護されてしまうこと、入居者の退去ごとにクリーニングや原状回復が必要なことなども理解しておきたいところです。さらに、自分で賃貸経営を行う自信や時間がない場合は、サブリース契約を利用して不動産会社に物件を借り上げてもらうという方法もあります。

 

実際の入居者へは不動産会社が転貸して貸し出すため、自分では管理を一切行う必要がありません。部屋が埋まっていようが空室だろうが関係なく毎月不動産会社から所定の家賃が振り込まれるため、空室率に頭を悩ませることもありません。もちろん、不動産会社は実際の入居者からの家賃の一部を自社の利益として差し引くため、所有者としては一般的な家賃相場よりも手元に入って来る金額は少なくなります。

 

毎月の収入は減るものの、空室率や賃貸管理を一切行う必要がないというのは大きな魅力です。サブリースは長期的な契約であることがほとんどですが、転勤している数年間だけ貸したいようなケースならリロケーションも適しています。こちらは期間限定の賃貸管理委託契約のようなもので、契約そのものは自分が契約者と直接行います。サブリースもリロケーションも契約形態は様々あるので、自分に適した内容を検討しましょう。

 

入居者がいる前提で計算しない

賃貸経営を行う場合、家賃収入を得られるだけでなく契約ごとに礼金や敷金を受け取ることもできます。ただ、最近は礼金なしという傾向も増えていますし、敷金も退去時に一部を返還するので確実な収入と考えるのは止めましょう。一方、経営にかかる支出は様々な項目が存在するため、順調な経営を行うためにはそれらを全て収入でカバーできるという条件も必須となります。

 

具体的な支出としては、毎年発生する固定資産税や都市計画税などの税金のほか、収益がプラスになるなら所得税や住民税もその年度ごとに支払う必要があります。入居者が決まれば仲介を依頼していた不動産会社に仲介手数料を支払うこともありますし、管理を代行会社に委託すれば毎月家賃の5%程度が管理委託料として発生します。退去時の原状回復費用や修繕費、マンションであれば毎月の管理費や修繕積立金なども自分で負担するケースが多いです。

 

収入と支出のバランスがうまく取れていれば良いのですが、その土地の需要や物件のクオリティ、経営方法などによっても収支は増減します。もちろん家賃収入が十分に取れていれば経営としては成り立つので、あらかじめ発生しそうなコストを把握して計算しておくことが大切です。一戸建ての場合は将来的なメンテナンス費用がはっきりしないこともあるため、計算する場合はあくまでも概算になります。計算結果によっては収支バランスが大きく変わってしまう可能性もあるので、いくらコストがかかるのかしっかり調査しておきましょう。

 

こういった収支計算を事前に行うことは非常に重要ですが、気を付けたいのが常に入居者で物件が埋まっているという前提で計算しないということです。賃貸物件である以上、よほどの人気物件でもない限り多かれ少なかれ空室期間が発生します。

 

常に入居者がいるという条件で計算すると最大収益をベースに考えてしまうことになり、実際に空室期間が長引けばそれだけ収入が減り、経営が立ち行かなくなる危険性もあります。特に自分の家が一戸建てやマンションの一室だった場合、空室のリスクヘッジができないのでより危険が高まるということを覚えておきましょう。

 

また、敷金についても注意が必要で、退去時には清掃や原状回復に使用するので用途や内容を契約時に明記しておくことが重要です。清掃は10万円を目安に考えておき、内装や設備が経年劣化以上にダメージを受けている場合に備えて家賃の2ヶ月分程度を受け取るようにしておくと安心です。

 

まとめ

このように、自分の家を賃貸物件として活用する場合には様々な注意点や条件があります。単純に家賃収入だけを見込んで貸し出すと損をしてしまうこともあるので、まずは住んでいる土地に賃貸物件の需要があるかを確認することが大切です。

 

需要が無ければそもそも入居者も現れず、家賃収入を得ることはできませんし、仮に見つかったとしても低い家賃でしか借りてもらえません。これでは貸した方がコストがかかってしまうという事態にもなり兼ねないので、需要とともに周辺の家賃相場や仲介手数料、税金など様々な条件も検討する必要があります。

 

また、物件の状態によっては入居者から敬遠されてしまうことも多く、給湯設備やライフラインなど必要最低限の設備に問題がないかもチェックしておくようにしましょう。これに加えてオートロックやインターネットサービス、追い炊きやモニター付きインターフォンなど人気の高い設備を導入しておけば、より入居希望者を集めやすいというメリットもあります。

 

賃貸経営と聞くと難しそうですが、入居者さえ見つかれば決して難しいことはありません。最近では管理の一切を代行してくれる不動産会社や管理会社も数多く登場していますし、サブリースやリロケーションなど便利な契約形態もあります。ただ、こういった便利さに甘えて全てを任せっきりにするのではなく、経営者として賃貸経営に関わる基礎知識や注意点、利益を出す条件などはしっかり心得ておくことも大切です。

 

継続的に利益を上げるためには、需要の大きさだけでなく物件そのものの価値、さらに定期的に発生する経営コストなども総合的に判断する必要があります。経営を失敗してしまう多くのケースで、こういった条件を無視して家賃収入が常に得られると楽観視していたり、支出を少なく見積もっていることなどが考えられます。経営者として事業の一環で自分の家を貸し出すという意識を忘れず、慎重すぎるほどに検討を重ねたうえで実行に移すことが不可欠です。

 

家賃収入を安定させるためには入居希望者に選ばれやすくすることが重要ですが、それはリフォームや修繕などかけるべきコストを惜しまず、いかに物件を魅力的に仕上げるかにかかっています。賃貸経営は入居者が決まる前から始まっているとも言えるので、様々な準備を万全にしておきましょう。