リフォームは必要?古い家を売るポイントとは

古い家を売るのは、何もない土地や新しい家を売る場合とは異なる問題が発生することがあります。同じ土地でも、建物が建っている場合と建っていない場合とでは、新たに建てる建物への影響、税金、売れやすさ等において違いがあります。

 

古い家はリフォームしてから売った方が良いのか、リフォームをせずに売った方が良いのかも問題です。

 

不動産の売却においては、法律や制度を熟知すると共に、買主の立場も考えて、買主の不利にならない対策をとっておくことも必要です。不動産の売却は法律と買主の両方のことを考える必要があります。

 

よくある問題

不動産において、古い家を売ろうとした場合、度々発生する問題があります。

 

  1. 古い家自体に適用される法律
  2. 古い家を壊して土地だけにした場合、新たに建てる建物に適用される法律

の2つの問題が発生します。

 

不動産において、建物に関する基本法は建築基準法です。古い土地に関しては、建てられた当時の法律に違反していなければ、建物自体は適法です。しかし、その後に建築基準法が何度も改正され、他の関連する法律も変わっているのが通例です。

 

建築基準法に関して、建築当時の法律には適合していても、現在の法律に適合していない建物を既存不適格建築物と呼びます。

 

既存不適格建築物は、それ自体は違法ではありません。しかし、増築等の変更を加える場合に、古い家の部分も現行の建築基準法に適合させなければならない場合があります。

 

すなわち、古い家が建っている土地に建物を増築しようとした場合は、増築する建物だけでなく、古い建物にも新たな法律が適用される場合があるという事です。

 

古い家をリフォームする場合も、間取りの変更等を含んだ大規模改修では、古い家にも現行の建築基準法が適用となり、お金をかけた改修が必要となる場合があります。古い家を解体して、土地だけにした場合、新たに建てる建物に関して法律上の問題が発生する場合があります。

 

古い家は当時の法律によって建築が可能でしたが、現在の建築基準法では必ずしもその土地に同じような建物の建築が可能であるという保証はありません

 

不動産用語の一つに再建築不可があります。

古い法律では建築が可能であった場合でも、現行の建築基準法では建築が不可能な場合のことを言います。

 

その原因の多くは、土地が接している道路です。不動産では土地の売買において、接している道路を重視します。建築基準法により、都市計画区域内において、新たに建てられる建築物は道路と接していなければならない決まりとなっています。

 

道路の定義は建築基準法によりますが、公道や位置指定道路で最低でも4mの幅員が必要です。幅員が4m未満の場合は、2項道路の認定を受けている必要があります。敷地が一定の基準の道路と接していない場合は、新たに建築物を建てることはできません。また、土地が道路と接する長さも、最低でも2m必要です。

 

これらの条件を満たしていなければ、古い家を撤去した後の土地には、新たな建築物が建てられないことになります。再建築不可の土地は不動産業界では流通が難しくなります。古い家が残っている土地を売却する場合、問題となるのがリフォームの必要性です。

 

不動産業界では、古い家のリフォームを行うべきかどうかの解答は一律ではありません。リフォームによりきれいに見せることで、買い手が付くことを期待したり、高く売れることを期待する場合もあります。

 

一方、リフォームが買主の要望と異なる場合、マイナスに働く場合もあります。リフォームには一定の費用がかかり、費用をかけただけの効果が期待できるかも問題です。

 

古い家は、不動産としての価値は低くても、建築的価値のある場合があります。太い柱や梁を使った古民家は、特別な価値があります。古民家を探し求めている人もいるので、単純に価値を低く見積もるのも問題です。

 

古い家を撤去した場合に生じるのが固定資産税の増額です。土地は宅地として使われている場合は、固定資産税の軽減があります。しかし、建物がなくなった時点から、固定資産税の軽減措置がなくなり、税金が高くなります。古い家は、建物がある場合も無くなった場合も、問題が発生する可能性があります。

 

古家付きで売るメリット・デメリット

古い家の建つ土地を、古家付きで売る場合、メリットもデメリットもあります。

 

古民家のような特別な価値が認められる場合を除いても、古い家が不動産的な価値を持つことはあります。再建築不可の場合は、古家を撤去してしまえば建物を建てることはできません。古くても、建物が残っていれば、最低限、そこに住むことはできます。

 

内装材や外装材の張替えは、現行法でも問題はなく、表面上は建物を新しくすることが可能です。設備機器も交換により最新の機能を手に入れることができます。買主がリフォームすることで、自分の気に入った様相にすることも可能です。

 

古い家でも建っていれば、固定資産税は安くなります。固定資産税が安いことは売主にとっても買主にとっても得になることです。売主としても、売れるまでの時期がはっきりしない以上、建物を撤去して固定資産税が高くなるのは困ります。買主にとっては固定資産税が安いことは当然のこととしてメリットです。

 

古い家が建っている状態で購入しようとする買主は、銀行からの借り入れがしやすくなる場合があります。一般に住宅の融資を受ける場合は、土地だけに対しては融資が付きにくく、建物があれば融資が付きやすい事情があります。すぐに住める安心感も買主にとってはメリットです。

 

買主が全て資金を十分に持っているとは限りません。資金に余裕のない買主の場合は、たとえ古くても、住める家が建っていることはメリットです。そのような買主の場合は、リフォームがなされていた方が買いやすいと言えます。

 

リフォームに関しては売主が行った方が良い場合と、買主が行った方が良い場合があります。売主がリフォームを行う利点は、物件をきれいな状態で売りに出せることです。古い建物であるために買い手が付かなかったり、買値を安く見積もられたりするリスクを低減することができます。

 

リフォームは売主にとっての不安材料でもあります。リフォームしても、買主が評価してくれないリスクは常に残ります。買主がリフォームした方が良い場合は、資金が潤沢で、住宅に対する要望が多い場合です。自分の気に入ったようにリフォームしたい場合は、売主が行うリフォームは不要なことです。この点が賃貸物件と大きく異なるところです。

 

賃貸物件の場合はリフォームを行う権利も義務も、家主が持っていますが、持ち家の場合はその時点での所有者が持ちます。売却において所有者が変わるので、その前後のリフォームは判断が難しくなります。

 

古家が残っている形で売る場合のデメリットは、買主が嫌がることです。買主が古い家に興味を示さず、購入後に解体する予定の場合は、古い家はお荷物となるだけです。古い家は、買主がそこで新たに生活を始めるにしても、問題が生じる場合があります。

 

敷地の植栽が手入れされていない場合は、買主が手入れをする必要があります。浄化槽や他の埋設物がある場合で撤去が必要な場合は、買主の負担となります。古い家は、隠れた瑕疵が存在する場合もあります。

 

表からは見えない構造材の腐食や、シロアリ等の被害は、古い家ほど起きやすくなります。古い家は水道や下水道の配管も古い場合がほとんどです。耐用年数がくれば、買主が取り替えなくてはなりません。水道管の太さが細ければ、買主が取り替えなければなりません。

 

電力の契約も容量が低い場合は、今の生活に合わせて高くする必要があります。売主にとっては都合が良くても、買主は負担を強いられることになります。古家付きで売る場合は、売主と買主の双方にメリットとデメリットが発生する恐れがあります。

 

解体して売るメリット・デメリット

解体して売る場合も、状況により、売主と買主の双方にメリットとデメリットが生じる可能性があります。解体して売る場合、売主のメリットは買い手が付きやすくなる点と、高値での売却が期待できる点です。デメリットは、まとまった金額の解体費用が発生することで、元が取れるかどうかが定まらない点です。

 

買主のメリットは、自由に新築計画ができる点です。デメリットは、新たに建物を建てる必要があることです。ここでも、土地によっては建築基準法の問題が発生します。道路の条件がクリアし、建築物を建てることができたにしても、建ぺい率と容積率、高さの制限等の基準が変わっていることで、以前と同じ規模の建物が建てられない可能性があります。

 

土地の面積が同じで、建ぺい率と容積率が変わった場合、以前よりも建てられる建物の規模の上限は低くなります。日影規制や斜線制限が厳しくなっていれば、限られた部分にしか建物が建てられないことも考えられます。

 

日影規制は、1976年の建築基準法改正で新たに導入されました。それ以前の建築物は、日影規制は適用されていません。新たな日影規制は都市計画区域内の商業地域や工業地域等以外のほとんどの地域に適用となります。特に、第一種低層住居専用地域では、軒高7m、高さ10m以上の建物が対象となるために、戸建て住宅も対象となる場合があります。

 

住宅の形態に大きく影響する制限として、北側斜線があります。主に、市区町村の条例等で規制され、隣地の真北方向の離れにより高さが制限されるもので、住宅でも隣地に近い北側部分の高さが抑えられます。

 

古い家には適用のなかった新たな規制が適用になることで、古い家と同等規模の建物が建たない恐れがあります。更地になっていればすべてがうまくいくとは限らない例として挙げられます。うまくいく点では、解体してあれば、リフォームをどちらで行うかの心配はいらなくなります。

 

売主にとっては解体して売ることで、瑕疵担保責任などの煩わしい問題から開放されます。瑕疵担保責任は主に建物に対して発生します。売却後であっても、一定期間は瑕疵担保責任から逃れることはできません。解体して売却することで、瑕疵担保責任は建物に関して発生しないことになります。

 

売主は物件の売却とは直接関係がなくても、古い家に生じる問題を解決しておく必要があります。売主は建物を使わないまま放置しておくと、空き家対策特別措置法により、建物の解体等の指示を受ける恐れがあります。近隣に危険が及ぶ状態となってからの話しですが、古い家を使わないままで長期間放置することは、行政から指摘を受けるリスクを伴います。

 

解体後に土地がすぐに売れない場合は、売主の税負担は大きくなります。

固定資産税は、200㎡以下の小規模宅地とそれ以上の一般宅地で異なります。さらに、建物がある場合とない場合で異なります。200㎡以下の小規模宅地で建物がある場合の固定資産税は、評価額の1.4%のさらに1/6です。建物が無い場合は、評価額の1.4%のさらに7/10となり、建物が無い場合は増額となることがわかります。

 

地方税である都市計画税にも同様の規定があり、評価額が高い地域ではかなりの負担となります。建物の売却前には、土地や建物に関する法的な準備をしておく必要があります。土地や建物の所有権の登記は、現在の所有者に移しておく必要があります。

 

遺産相続等で譲り受けた土地は、現在の所有者に所有権を移転する登記を行う必要があります。土地の境界が決まっていない場合は、登記の時点ではっきりさせる必要もあります。

 

登記には、一定の料金や税負担が発生し、売却前は売主の負担となります。

 

まとめ

古い家を売る場合は、建物を残したまま売りに出すか、解体して売りに出すかが問題となります。さらに、建物を残したまま売りに出す場合は、売主がリフォームを行うかどうかが問題となります。

 

どちらの問題にも共通して言えるのは、買主が決まっていない時期に、これらの問題の結論を出すことの難しさです。買主との交渉で、これらの問題を決められるのであれば、解決は容易になります。

 

古い家を所有している場合は、売るか売らないかの決断が必要です。少子高齢化による家余りにより、既存の住宅は今後ますます売れ難くなることが予想されます。都心部の利便性の良い場所以外は、土地の有効活用は難しいと言え、使わない家は、売れるときに売っておいた方が無難です。

 

家の売却にはいくつかの方法がありますが、初めに物件の相場価格を知っておく必要があります。所有する物件の相場を知ることは、古い家を解体するか、リフォームを行うかの判断にも影響します。

 

物件の相場価格を知る方法は、

  • 不動産物件査定サイトを利用する方法
  • 不動産業者に聞く方法
  • 近くで販売されている同等の物件の販売価格から推測する方法

などがあります。

 

物件の相場価格を把握できたら、古い家を解体するか、リフォームを行うかも含めて、売却のための計画を立てます。古い家の売却では、専門家を味方につける必要があります

 

不動産物件査定サイトや不動産業者に早い段階から話を持ちかけ、アドバイスを受けることが大切です。不動産の専門資格に宅地建物取引士があります。資格の所有者は不動産に関する知識はもちろんのこと、民法や建築関連法規にも詳しく、古い家の売却を相談する場合、参考になります。

 

古い家を残したまま売却する場合は、リフォームの検討が必要です。リフォームは買主が決まってから行うものではありません。買主が決まらない時期に、行うかどうかの決断が必要です。古い家の売却では、リフォームをしない選択が現実的です。リフォームが評価されるかどうかは、買主によります。買主が決まらないうちは、何もしないのが最上の策と言えます。

 

もし、リフォームを行うのであれば、瑕疵につながるような欠陥を補修する程度に留めることが損失を出さない方法となります。雨漏りやシロアリ駆除などは、売却後に瑕疵となる場合があるので、リフォームにより補修しておくことは無駄ではありません。見た目に関する部分のリフォームは、買主に評価されるかどうかわかりません。無駄な努力が報われないよりも、何もしない方が無難です。

 

リフォームの代わりになるのがクリーニングです。プロが行うクリーニングで、建物は見違えるほどきれいになります。さらに、畳の張替えや障子紙の張替えなどを行えば、買主に対しての良いアピールとなります。

 

古い家を売却する場合、建物を残したまま売りに出すか、解体して売りに出すかは大きな問題です。この点にしては、建物を残したままで売りに出し、買い手が見つかった段階で協議し、必要な場合は解体費用を負担することが考えられます。解体費用をどの程度負担するかは、買主側との協議となります。

 

解体費用をどちらが持つかは、売却価格の交渉においても、一つの交渉条件となります。

 

売却価格が安いと判断した場合は解体費用の負担は拒否し、思ったよりも高値で売れそうであれば解体費用を売主側で負担するなど、様々な条件の提示が考えられます。

 

不動産の売買は、売主と買主があって始めて成立します。買主の要望が何であるかを把握して、準備をすることが求められます。